大卒求人倍率1.74倍、大企業への就職希望者増加で厳しくなる中小企業の新卒採用
2017年3月卒業予定の大卒求人倍率は1.74倍で前年から0.01ポイント上昇したことなどが、リクルートワークス研究所の調べで分かった。売り手市場化で大企業への就職希望者数が増加していることから、中小企業の新卒採用は前年以上に厳しくなる。
17年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象にした全国の民間企業の求人総数は前年の71.9万人から73.4万人へ1.5万人増加した。学生の民間企業への就職希望者数は、前年41.7万人とほぼ同じ水準の42.2万人。その結果、求人倍率は前年の1.73倍から1.74倍へわずかに上昇している。
学生の就職希望は、従業員5000人以上の大企業を希望する学生が8.3万人と前年より1.4万人増加、前年比19.5%の大幅増加となっている。一方、従業員300人未満の企業を希望する学生は9.9万人と前年より1.4万人減少、前年比でマイナス12.1%と低下している。
業種別の求人倍率は、「流通業」で1.33ポイント上昇して6.98倍、「建設業」で前年度より0.07ポイント上昇して6.25倍、「製造業」で0.20ポイント上昇して1.93倍となり、特に流通業と建設業で採用が困難な状態が続いている。
一方、「金融業」が前年比0.04ポイント低下して0.19倍、「サービス・情報業」が0.07ポイント低下して0.49倍という買い手市場になっている。特に金融業は調査開始以来の最低水準であった2014年3月卒の0.18倍に匹敵する水準となっており、学生にとっては厳しい就職活動になりそうだ。
求人倍率の上昇に伴って大学・大学院の新卒採用数を充足できない企業も増加している。2016年3月の新卒採用予定人数に対して54.4%の企業が採用数を充足することができなかった。充足できなかったことの対応策は、32.7%の企業が「正社員の中途採用数の増加」、27.3%の企業が「2017年4月入社の採用数増加」などで求人数を充足させようとしている。
こうした売り手市場化の傾向が、2017年4月入社の新卒採用と2016年度の中途採用に大きく影響を与えそうだ。
配信元:日本人材ニュース