トラックドライバーの人材確保・育成に向けて(国土交通省・厚生労働省)~②人材確保・育成編~
2016/04/19
◆近年のトラックドライバーの人材不足に鑑み、今後、国土交通省・厚生労働省の両省で連携して施策等を実施し、トラックドライバーの人材の確保・育成を進めていく。
国土交通省⇔厚生労働省(下記内容にて連携)
☆国土交通省
トラック運送業の業界団体や企業と連携し、就労環境の整備や人材確保・育成に向けた取り組み等を実施。
☆厚生労働省
トラック運送業界への入職を促すため、トラック運送業界の魅力の向上や人材育成等に向けたきめ細かな直接的な取り組みを実施 。
◆1.今後両省が実施する施策概要
①魅力ある職場づくり
・取引環境・長時間労働・賃金等の労働条件の改善
・雇用管理の知識習得・実践の推進
・雇用管理に資する助成制度の活用促進
・現場の安全管理の徹底
②人材確保・育成施策
・トラック運送業への入職促進
・女性の活躍促進
・関係団体等との連携による人材育成・定着支援の推進
・事業主等による人材育成の推進
◆2.両省施策・詳細(魅力ある職場づくり)
~(1)取引環境・長時間労働・賃金等の労働条件の改善~
☆国土交通省
<施策①>ガイドライン等の周知・普及
<上記詳細>下請・荷主適正取引推進ガイドラインや書面化推進ガイドライン等の活用により、適正取引を推進。
<施策②>不適正事業者への指導強化・退出促進
<上記詳細>社会保険未加入事業者など法令を遵守しない不適正な事業者への指導強化・退出促進を図る。
<施策③>ITを活用した中継輸送の実証
<上記詳細>ITを活用した中継輸送の導入促進策を検討し、輸送の効率化を図り、不規則な就業形態や長時間労働を解消を図る。
☆厚生労働省
<施策>中小企業における割増賃金率引上げ
<上記詳細>第189回通常国会に、「中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率引上げ(25%→50%)」等を内容とする、労働基準法等の一部を改正する法律案を提出。(施行期日:平成31年4月)。
☆国土交通省・厚生労働省の両省
<施策①>トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会
<上記詳細>(1)中小企業における割増賃金率の引上げに伴い、長時間労働の実態が見られるトラック運送業における取引環境の改善及び長時間労働の抑制を実現するため、トラック運送事業者、荷主、行政等の関係者が一体となり、具体的な環境整備等を図るべく協議する場を設置。
(2)厚労省、国交省、全日本トラック協会が合同で事務局を担う。
<施策②>トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会
<上記詳細>労働基準監督機関と地方運輸機関がその監督又は監査結果を相互に通報し、これに基づきそれぞれの行政機関が所要の措置を講ずるほか、両機関の合同監督・監査により、効果的な指導を行い、自動車運転者の労働時間等の労働条件の確保・改善を図る。
~(2)雇用管理の知識習得・ 実践の推進 ~
☆厚生労働省
<施策>雇用管理制度の導入支援等(雇用管理改善促進事業)
<上記詳細>道路貨物運送業等の人材不足分野の事業主に対し、雇用管理制度を導入・運用するためのコンサルティング支援を行うとともに、その導入効果やノウハウ等の把握や有効な雇用管理改善方策の整理等を実施。
~(3)雇用管理に資する助成制度の活用促進~
☆厚生労働省
<施策①>運送事業者が活用できる雇用関係助成金をまとめたパンフレットの作成・配布
<上記詳細>公益社団法人全日本トラック協会と連携し、運送事業者が特にトラックドライバーの確保・定着に向けて活用できる雇用関係助成金をまとめたパンフレットを作成し、公共職業安定所等で配布。
<施策②>職場定着支援助成金(中小企業 団体助成コース)による支援
<上記詳細>運輸業を含む重点分野等の事業を行う中小企業を構成員とする事業 協同組合等が、傘下の事業者の人材確保や従業員の職場定着を支援 するために一定の事業を行った場合、それに要した費用の1/2を助成。
<施策③>職場意識改善助成金(職場環境改善コース)による支援
<上記詳細>所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進を図る中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成。
(助成内容)助成対象:労働時間管理の適正化に資する機器等の導入・更新、労働能率の増進に資する機器等の導入・更新、社会保険労務士によるコンサルティング等 ※助成率、上限額:費用の3/4、上限100万円
<施策④>高年齢者が就労しやすい環境整備への支援(高年齢者雇用安定助成金)
<上記詳細>高年齢者の活用促進のための雇用環境整備の措置を行う事業主に対する助成を実施。(助成内容)・新たな事業分野への進出等 ・機械設備の導入等・高年齢者の雇用管理制度の整備 ・定年の引上げ等(助成額)環境整備計画の実施に要した費用の額の1/2(中小企業は2/3)
~(3)現場の安全管理の徹底~
☆厚生労働省
<施策①>交通労働災害防止対策の推進
<上記詳細>(1)国土交通省運輸支局、関係団体との連携を通じた「交通労働災害防 止のためのガイドライン」(平成25年5月28日付け基発第0528第2号)の 関係事業者に対する周知、労働局・労働基準監督署における指導によ り、交通労働災害防止対策を推進。 (2)本年度は、従来からの取組に加え、春の交通安全運動実施期間等を 重点に事業者が参集する機会を捉えた交通労働災害防止の周知や、 警察等の関係機関と連携した意識啓発を図っている。
<施策②>荷役作業における安全対策の推進
<上記詳細>(1)陸上貨物運送事業者に対し、「荷役作業における安全対策のためのガ イドライン」(平成25年3月25日付け基発第0325第1号)に基づき指導を 行うとともに、荷役作業を行う場所を管理する荷主に対しても安全対策 の実施を周知徹底する等の対策を推進。 また、国土交通省・運輸支局が実施するトラック輸送適正取引推進 パートナーシップ会議に厚生労働省・労働局も参加し、陸上貨物運送事業者・荷主等の双方に対し安全対策の実施を促すなど、連携を図って いる。 (2)労働局、労働基準監督署による指導等の取組のほか、委託事業によ り、荷主等を対象に荷役ガイドラインに関する講習会や専門家によるコ ンサルティングを実施し、当該ガイドラインの定着を図っている。
◆3.両省施策・詳細(人材確保・育成施策)
~(1)トラック運送業界への入職促進~
☆国土交通省
<施策①>高校訪問の実施
<上記詳細>学校等との連携を強化し、トラック業界の魅力のPRや情報発信を行っていくため、 運輸局等の高校訪問を実施。
<施策②>HPやパンフレットを通じた情報発信・経営者への啓発強化
<上記詳細>(1)トラガール促進プロジェクトサイトを通じた情報発信及び経営者に対する啓発強 化。 (2)事業者向けのパンフレットを通じた経営者に対する啓発強化。
<施策③>中型免許制度改正への積極的対応
<上記詳細>新たな免許区分の創設に向けて、関係省庁・業界団体とも連携しながら、運転者教育など、安全対策の充実に努める。
☆厚生労働省
<施策>ハローワークにおけるマッチング支援
<上記詳細>全国のハローワークにおいて、求職者と求人者双方に対するきめ細かな職業相談・職業紹介等を実施。 トラック運送業を含む求人者に対し、応募者を増やすための求人条件の設定についての助言等を行うとともに、求人内容にふさわしい能力・適性のある求職者に応募の働きかけを行うなどにより、早期の充足に向けた取組を実施。
~(2)女性の活躍促進~
☆国土交通省
<施策>HPやパンフレットを通じた情報発信・経営者への啓発強化【再掲】
<上記詳細>(1)トラガール促進プロジェクトサイトを通じた情報発信及び経営者に対する啓発強化。 (2)事業者向けのパンフレットを通じた経営者に対する啓発強化。
☆厚生労働省
<施策①>両立支援等助成金(中小企業両 立支援助成金・代替要員確保 コース)による支援
<上記詳細>(1)育児、子育てをしやすくする制度の導入に取り組み、女性トラックドライバーが働 きやすい環境を整備するため、育児休業取得者の代替要員を確保するとともに、 育児休業取得者を原職復帰させた場合に助成金を支給 (助成内容) (2)支給対象労働者1人当たり30万円(育児休業取得者が期間雇用者の場合10万円加算) (3)1企業当たり1年のべ10人まで、5年間支給(くるみん取得事業主の場合、平成 27年3月31日までは50人まで支給)
<施策②>女性の職業生活における活躍推 進のための法整備
<上記詳細>・第189回通常国会に、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案を 提出。
~(3)関係団体等との連携による 人材育成・ 定着支援の推進~
☆国土交通省
<施策>人材育成・定着化を進めるための調査・ガイドライン策定
<上記詳細>ドライバーの育成・定着化を進めるための効果的な取組や実態を調査 し、ガイドライン等に取りまとめる。
☆厚生労働省
<施策>運送事業者が活用できる雇用関係助成金をまとめたパンフレット の作成・配布
<上記詳細>公益社団法人全日本トラック協会と連携し、運送事業者が特にトラック ドライバーの確保・定着に向けて活用できる雇用関係助成金をまとめたパンフレットを作成し、公共職業安定所等で配布。
~(4)事業主等による人材育成の推進 ~
☆厚生労働省
<施策①>キャリア形成促進助成金(政策課 題対応型訓練(成長分野等人材 育成コース))による支援
<上記詳細>運輸業を含む成長分野等の業務を行う労働者を育成するため、職業訓練を実施した事業主等に対し、当該職業訓練に係る訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成。 (助成内容)⇒ ・経費助成:1/ 2(1/3) ・賃金助成:1時間あたり800円(400円) ※()額は中小企業以外の額
<施策②>キャリア形成促進助成金(認定実 習併用職業訓練コース)
<上記詳細>・新規学卒者等を採用、企業内での実習(OJT)と教育訓練機関等での座学等(Off-JT)を組み合わせて訓練(6か月以上2年以内)を実施し、 企業現場の中核人材に育成する実習併用職業訓練(実践型人材養成 システム)を実施した場合に、当該職業訓練に係る訓練経費や訓練期 間中の賃金の一部を助成。 (助成内容)⇒中小企業のみを対象 ・Off-JT賃金助成:1時間あたり800円 ・Off-JT経費助成:1/ 2 ・OJT訓練実施助成:1時間あたり600円
~(5)事業主等による人材~
<施策①>キャリアアップ助成金(人材育成コース)
<上記詳細>非正規労働者を採用、企業内での実習(OJT)と自社又は教育訓練機 関での座学(Off-JT)を組み合わせて訓練(3か月以上6か月以内)を実施し、自社の人材ニーズにマッチした正規雇用労働者を育成する有期実習型訓練を実施した場合に、当該訓練に係る訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成。 (助成内容)※( )内は中小企業以外の額 ⇒・Off-JT賃金助成:1時間あたり800円(500円) ・Off-JT経費助成:訓練時間に応じた額 ・OJT実施助成:1人1時間あたり800円(700円)
※キャリアアップ助成金(正規雇用等転換コース) ・有期実習型訓練等の終了後に、正規雇用労働者として雇い入れた場 合に、1人あたり50万円を支給 (注)助成額は事業者が中小企業の場合であり、平成27年度末までの暫定。その後は40万円。
<施策②>一般教育訓練給付金による支援
<上記詳細>(1)労働者の自発的なキャリア形成を支援するため、在職者又は離職後1 年以内の者が厚生労働大臣の指定する教育訓練(一般教育訓練)を受 ける場合に、訓練費用の一定割合を支給。 (一般教育訓練給付の指定講座数) (2)輸送・機械運転関係4,845講座 (大型自動車、建設機械運転等)
参照元:国土交通省